第10章 10章
『えーっと……』
他に話をつなげようにも何を話していいかわからない
よし、トイレに行ってもう戻ろうかな
って思った時に
東「俺が……俺がこないだ練習試合にいなかったのは
ある試合で俺のスパイクがブロックに止められて
エースなのに点を取れなくて
もうあんな思いをするのが怖くて
逃げてたんだ」
旭先輩が練習試合の時のことを話してくれる
それって、もしかして伊達工業?
『じゃあさっき、あの生意気な伊達工生が言ってた
今回も覚悟しといて下さいね
ってやつは……』
東「そう、俺のことだよ」
旭先輩の話を
少し辛そうな顔で聞く大地先輩と夕先輩
東「それで、もうやめようと思ってたのに
体育館に行ってみるとやっぱりバレーがしたかったんだ
それで戻っていった俺を
みんな迎え入れてくれて
まだエースだ、って言ってくれて」
やっぱり烏野のみんなは
本当にチーム思いで優しいな
東「だから……
そう言ってくれたチームのみんなのためにも
俺はもう負けられない」
そう言った旭先輩の顔には
さっきまであった不安がなくなっていた
東「って、いきなりこんな話聞かせちゃってごめんね」
そうわたしに謝る旭先輩は先程とは別人の雰囲気
でも、やっぱり顔はすっきりしてる
西「……やっぱ旭さん、カッケーっす!!」
澤「あさひ…
(旭が立派になってくれて嬉しいよ)」
大地先輩、さっきも思ったけど
お父さんみたいだよ!?
『伊達工の、さっきのやつ生意気でムカつくから
絶対倒してきてね
わたし達も絶対勝つから
……それで、明日はウチと試合やろう!』
澤「あぁ」
そういった大地先輩をふくめ
夕先輩も旭先輩も笑顔だった
『あ、時間やばいかな、そろそろいくね!』
夕「おう、こんどガリガリ君奢ってやるからな!」
『うん、楽しみにしてる!』
東「話聞いてくれて、ありがとう」
『頑張ってね、エース!!』
澤「あした、また会おう」
『うん……じゃあまたあした!』
先輩達と別れて自分の緊張がなくなってることに気づく
先輩達に感謝だなー