第8章 8章
電話の向こうから
「木兎うるせぇ」って声が聞こえてくる
もしかして
『光太郎さ――』
木「奈々!?いま笑ったか!?
あかあしーーー!!おきろ!赤葦!!」
やっぱり
『光太郎合宿中?』
木「そうだよ!
ってかそんなことどうでもいいだろ!!」
「ほんと木兎うるせぇから!!」
ほんと電話越しに聞いててうるさいし
寝てる人にとっては多分殺意がわくほどうるさいと思う
赤「なんですか、木兎さん」
京治の声だ
ずっと聞きたかった京治の声
っていっても当然光太郎の声も聞きたかったよ!
木「なにっておまえ!奈々が!!」
赤「木兎さんほかの人の迷惑になるんで
外出ましょう」
はっきり聞こえないけど
聞こえてくる京治の声は寝起きの声で
きっと顔は変わってないんだろうないつも通り
でも、内心では、めんどくさいな
って思ってると思う
そしてふたりは外に出たんだろう
木「なぁ、奈々!
おまえんところ、朝日見えてる?」
……そっか
東京は宮城よりもちょっと日の出時間遅いんだっけ
『うん、まぁさっき日が上がるところみたよ』
木「そっか、じゃあまた3人で朝日見れたな!」
光太郎忘れてなかったんだ
まぁ今年のことなんだけどさ
そう思うとなんか懐かしくてほんとに泣けてくる
赤「木兎さん変わってください
もしもし、奈々?
こんな時間にどうしたの?」
その声に思わず涙がこぼれてしまった
光太郎も京治もほんとに優しい
赤「え、奈々なんでないて――」
『なんでもないよ』
でも
会いたいよなんて言えない
だって離れてったのはわたしだから