第8章 8章
はじめ先輩がいうことが本当なら
わたしたちはいま道に迷ったということになる
……どうすんの
はじめ先輩は散々さっきまで怖がってたのに
今はなにか考え事をしてる
ちなみに携帯は繋がる
けど、先輩達に場所を伝えることが出来ない
さっきから
及《奈々ちゃんと岩ちゃんどこ!?》
とかきてるけど
返信のしようがない
『先輩、ここどこかわかる?』
岩「いや、そんなことより
とりあえず寒くねーか?」
話ぶっ飛びすぎだってば!
『まぁ大丈夫だよ』
岩「じゃあとりあえずここで及川たちが来るの待つぞ」
『いや、徹先輩とかに場所教えたくても教えられないんだけど』
岩「ちょっと携帯かしてくれ」
はじめ先輩に携帯をわたすと
誰かに電話をかけ始めた
岩「あ、及川?
わりーんだけど、道に迷ったから迎えに来てくんね?」
かすかに向こうから
及「岩ちゃんたちはどこにいるのさ!」
って聞こえてくる
そりゃそうだわたしもはじめ先輩にツッコミたい
岩「わかんねーから戻れないんだろ
早くこねーと奈々のこと襲うから、じゃあな」
徹先輩からの返事を聞かないように
はじめ先輩は電話を切る
ってそんなことじゃなくて
『襲うってなに!?』
そう言うとはじめ先輩は笑い出す
岩「冗談に決まってんだろ笑
なんもしねーから安心しろ
ああいっとくと及川が多分早く来るから」
なるほど、はじめ先輩は
徹先輩のことよくわかってるんだね
『二人ってホントに仲良いよね、羨ましい』
岩「奈々にだって幼馴染みいんだろ?」
『でもふたりほどきっと深くないんだよ
なんていうんだろうな〜、うまく言葉じゃ言えないけど』
なんて言えばいいんだろう
男同士の徹先輩とはじめ先輩に比べると
浅いと感じてしまうこの気持ちを
岩「まぁ、詳しいことわかんねぇからなんとも言えねぇけど
幼馴染みなんてどこもそう変わんねーよ
奈々は幼馴染みのこと好きなんだろ?」
『うん』
岩「なら多分相手も思ってることは同じだろ」
……それって