第8章 8章
及川side
次に目が覚めた時は
なんだか手があったかかった
目を開けると座ったまま俺の手を握って
寝ている奈々ちゃんが目に入った
それを見た瞬間なぜか
本当に申し訳ない気持ちが浮かんできて
それと同時にとても彼女を愛おしいと思った
きっと奈々ちゃんは
俺が倒れたのは自分が止めなかったせい
とか思って後悔してたんだとおもう
それに、あの時起きたことを伝えてたら
奈々ちゃんはこんな体勢で寝なくて済んだはずだ
ほんとごめん
でも……
俺のためにずっと手を握ってくれてて
自分よりもなによりも俺を選んでくれたということが
ダメなことだとわかっていても
本当に本当にうれしくて
今すぐに奈々ちゃんを抱きしめてしまいそうだった
本当にこんな気持ちになる人は初めてで
完全なる俺の初恋
だからこそ気持ちの伝え時とかがわからない
まぁ今はそれはいいか
奈々ちゃんを起こさなきゃ風邪ひいちゃう
ちらっと時間を確認すると
1時半だった
及「奈々ちゃん、起きて!」
『ん〜……とーる先輩?』
若干寝ぼけてる姿が可愛い
『……徹先輩!?元気になった??』
心配してくれる姿が可愛い
なんでそんなに全部可愛いんだろう
及「奈々ちゃんが看病してくれたおかげで
結構元気になったよ、ありがとね☆」
『ほんと?よかったぁ〜
じゃあさ、わたしもねるね!』
今まで寝てたじゃん!
てツッコミはあえてしないけど
奈々ちゃんが手を離そうとするけど
奈々ちゃんの温もりが離れてくのが嫌で
及「奈々ちゃん今日どこでねるの?」
手を握り返して聞くと
『ん、ここだよ?』
そういいながら布団に入ってくる奈々ちゃん
って、ちょっと待ってよ!!!
昨日までとは訳が違うんだよ!?
今日は二人きりなのに
及川さんの理性が持つかわかんな――
『スー、スー』
え?寝るの早くない??
布団に入った瞬間聞こえる奈々ちゃん規則正しい呼吸
すこし残念だと思いながらも
俺の看病で疲れてんのかな、って思って
ありがとう
そんな気持ちを込めて今日は俺が奈々ちゃんを抱きしめて寝た