第5章 問題児!?な一年生
【菅原side】
着替えを終えて体育館に戻ると
理緒ちゃんが一人で待っていた。
「ごめん、待たせちゃったね。清水は?」
「潔子さんはもう帰りましたよ。」
はぁ?帰っただと!?
明らかに送ってくれっていう素振り見せてたじゃん。
「あの、さっきの会話は潔子さんの冗談だったみたいで……。邪魔しちゃ悪いから帰るって言ってました。」
「な、何で邪魔だと思ったんだろうね?」
続けて話す理緒ちゃんの言葉に
俺は誤魔化すしかなかった。
俺が理緒ちゃんの事気に入ってんの
清水に完全にバレてるじゃんか!
平常心を保ちながら駅まで理緒ちゃんと歩く。
外はもう暗く街灯やお店の灯りだけが頼りだ。
「そういえば理緒ちゃん家は何処?」
「あ、えと烏野の駅から電車で40分位の所です。」
「へぇ、結構離れてるね。家からもっと近い高校あるでしょ?烏野高校に通うことになった理由なんてあるの?」
「理由ですか?制服が好みだったからです!」
そう言ってニッコリ笑う理緒ちゃん。
理由が西谷と同じで俺はハハッと声を出して笑ってしまった。
「笑わないで下さい!だって高校卒業するまで着なきゃいけないんですよ?
気に入らない制服だったら着るたびに
毎朝ため息ついちゃいます!」
笑われたのが気に触ったのか
むぅと口を尖らせて話す理緒ちゃん
そんな姿も可愛かったりする。
「ごめんごめん。そんなにうちの制服が気に入ったんだね。うん、理緒ちゃん制服似合ってる、可愛いべ!」
しまった!
思わず本音を言ってしまった。
「えへへ、やっぱり誉められると嬉しいですね!スガさんありがとうございます。」
ちょっぴり照れながらお礼を言う
理緒ちゃんに俺は胸は高鳴るばかりだった。
駅に到着し理緒ちゃんと別れる。
正直最寄り駅まで付いていきたい気分だった。
「送ってくださりありがとうございました。」
「お安いご用だよ。理緒ちゃん気を付けて帰ってね。」
「はい!スガさんもお気をつけて。」
理緒ちゃんはペコリと頭を下げて
軽く手を振りながら改札を通る。
俺は後ろ姿を見えなくなるまで見送っていた。