第7章 此処から始まる物語
ある日の祝日
学校がないことを良いことに午前を寝過ごした私は午後一時に起床した
それから暇だから偶にはどっかに出掛けようと久々に外出をした
そしてCDショップに行き,
好きなバンドグループのCDを見つけて手を伸ばしたそのとき
横から伸びてきた手と,手が重なった
うわあ,ないわー..すみません(笑顔)で終わらせようそうしよう
『あ..すみません』
「いえ,こちらこそ…って先輩」
『…!?』
それで,眼鏡の天パ少年と会ってしまいました
あー外出しなきゃよかった
てかなんでいるわけ
『……こんにちは』
「なんですか?」
『..えっと,さよなら』
「ちょっと待って下さい」
そのまま立ち去ろうとしたら首根っこを掴まれた
くそ!呼び止めかた雑過ぎだろ
「先輩,ホント逃げ足早いですよね」
『逃げるつもりはありませんでしたよ』
「他人の私情を見といて?」
『...すみません』
「……はぁ、別にもういいですけどね」
いいのかい
素直に謝ったら彼は複雑そうにため息をついた
どうやら素直に謝られると困るらしい
『えっと,私はここで』
「…CD」
『は??』
「CD,買わないんですか?」
あー,忘れてた
でもさ
『一枚しかないのでどうぞ』
「先輩はいらないんですか?」
『まぁ,大丈夫ですから』
では,と今度こそさっさと店を出る
そして,少し店から離れたところで大きく息をついた
意外に普通に会話できたけど,実はめっちゃ緊張した
なんか弱味でも直ぐに見つけそうなあの眼苦手なんだよね..
ああ,でも何事もなくあっさりと終わってよかった
CDは、また今度買いにくればいっか
まあ,別に買わなくてもいいんだけど
次の日
朝,学校に登校したら下駄箱の前に天パの月島くんがいた
誰か待ってる?まあ,いっか
「これ」
『は?』
月島くんは私を見るなり近づいてきて小綺麗な紙袋を突き出した
私はそのまま押し付けられるように紙袋を受け取った
けれど中身を覗いて思わず声をあげた
『あ、あのときの..CDじゃないですか』
「貸してあげます」
そう言った月島くんに私は思わず黙ってしまう
そして月島くんは背中を向けて
「本当に貸すだけですから,後で返して下さいね,ももこさん」
そのまま立ち去った彼の後ろ姿を,私は呆然と見届けた