第23章 本音
花壇がある教室棟の裏側で2人きりの空間が出来る
「あの...あのね」
『は、はい』
「あのね、突然こんな事言われて驚くかもしれないけど、私、ももこちゃんの力になりたかったの」
『え...?』
ふと、顔を上げると、真剣な瞳でこちらを見つめる視線と合う
「いつも部活のこと考えてくれて、部員のことも私の事も考えてくれてる」
『え、あの、そんな、わたしなんて自分だけで』
「違う、そんなことない.....考えてくれてるの凄く伝わってくるよ、だからね、私も、ももこちゃんの力になれるのなら、少しでも負担を減らせることが出来たら良いなと思って、新しくマネージャーを探し始めたの」
『わたしの、ため、?』
「リハビリをする為に病院へ頻繁に行けない事も知ってた」
『.....』
「勿論、烏野がこれからもっともっと強くなる為もあるけどね」
眼鏡を掛け直しては、笑い掛けてくれる
「だからね、ももこちゃんが私達の役に立ってないとか、そんな事あるはずない、ももこちゃんだからこそ一緒にマネージャー頑張って行きたいって思うよ、勿論仁花ちゃんとも」
『....っ』
「ごめんね、私もちゃんと相談するべきだったよね、突然びっくりさせちゃったよね」
『そ、そんな!わ私の方が謝らなきゃいけなくて、本当に、すみませんでした』
眉を下げては謝ってくれる、違う違う、私の方が大人気ない態度ばかりだったのに
「謝らないで.....あ、あと」
『...は、はい』
「私達には沢山たくさん迷惑掛けてほしいな、私達も頼ってくれると嬉しいから」
『....!潔子せんぱあああい』
思わず泣きそうになっては不細工であろう顔を必死に泣くのを耐えつつ突進する様に抱きつきにいく
驚いたような嬉しそうな声が微かに聞こえてはぎゅっと抱き締めてくれては、安堵したような綺麗な笑顔を見せてくれる
本当に、よかった、役に立ってないわけじゃなかった、こんなにも私のことを考えていてくれてたんだ
私の視界に、ふと黄色い薔薇が見えた
風が吹いて、花びらがひらひらと舞う
夢の中ではあれ程恐ろしく、現実でも怖かった黄色い薔薇が、何故か余りにも美しく見えた
そして、身体に重りの様に纏わり付いていたものがふと軽くなったようなそんな感覚がした