第20章 合同練習
あれから、何とか後片付けも終わり、一段落しては皆が寝静まっている今現在
私は外の風にあたりにきている
昼間はあんなにボールの音や人の声が聞こえていたのに今はしんとして、ふと見上げると雲がかった星があちらこちらに見える
あの夢を見るようになってから、段々と眠るのが怖くなった
あの場所を、居場所を、取られたくないなんて、子供みたいだろうか
ふと思う時がある、あの場所にいないあの光景は当たり前だと自分自身で納得してしまいそうで怖くなる
気付くとあの夢を見てしまいそうで
またひとりになってあの暗闇に取り残されてしまいそうで
「...あの」
後ろから声が掛けられる、肩を上下させびっくりしてしまう、足音全然聞こえなかった、それ程までにぼんやりしてたのかな
振り返るより前に感じたことのある視線が背中にささる、やっぱり、あの視線は
『...お久しぶりです、よね?』
「前に、駅でお会いしましたよね?」
じっとこちらを見ては首を傾げる、ふとあの頃のけーじを思い出しては頬が緩む
『そう、ですね』
暫く私の顔をじっと見つめた後、やっと声が出たのか自己紹介をしてくれる
「あ、自己紹介、してなかったですよね、梟谷高校、2年赤葦京治です」
やっぱり、けーじだ、前に駅であった時はまさかこうしてまた会えるとは思わなかった
『わたしは「おーい!赤葦!!」」
「木兎さん」
後ろから勢い良く走ってくる音が聞こえる
私の事に気付くと、じーっと見られ不思議そうに首を何度も傾けてはうろちょろとされる
『え、あ、その』
「あー!あん時の!」
『あ、あはは、お久しぶりです、南蛮さん』
「ん?南蛮????あ!チキン南蛮のことか??腹減ってるのか?」
うわあお、自分で言ったことも覚えてないなんて
「いや、南蛮さんって言ったのは木兎さんが言った言葉ですよ」
「そうだったか??んで、何してんだ?」
『ただ、星を眺めていただけですよ、お二人はどうして此処に?』
「俺は赤葦が居なかったから探しに来た!」
「...俺は何となく、です」
『そう、でしたか』
これは言った方が良いんだろうか、小学校一緒だったんだ、と、でもまた会えると約束してから会いに行けなくて、あわせる顔がない
それに、あんな小さい頃なんだ、もう忘れ去られても可笑しくない