第20章 合同練習
谷地ちゃんが部活に正式に入部する形になり、無事にテストも終えることが出来た
7月7日土曜日、東京都某所
「あれはっあれはもしやスカイツリー!!?」
「いや、あれは普通の鉄塔だね」
「ぶっひゃひゃ」
早朝から大声を上げる田中と西谷の後ろで、海さんが穏やかな笑顔で否定した
隣で腹を抱えて笑うくろ、ふと辺りを見渡しては
「なんか人足んなくねーか」
日向と影山のことかなあ、眉を下げてはふと考える
ふたりは努力空しく各々1教科ずつ赤点を取ってしまい、今日の午前中は烏野高校で補習を受けているはず
大丈夫かなあ、私も今回は本当に危なかったからな
本当どうにかなって良かった
2人は田中の姉、冴子姐さんの好意に甘え、本日中にはこちらに到着するはず?らしい
「久しぶりだな」
キャプテンの隣を歩いてると、駆け寄ってきてはくろがニッと口角を上げてわしゃわしゃと撫でてくる
『ふは、久しぶり?だね』
態と、久しぶりと言ったのか、それとも会えなかった時間が長く感じたのか、解らないけど、私の笑顔を見ては、何処か眉上げて言葉を紡ごうとすると
「な..「ちょっとちょっと、うちのマネージャーにちょっかいかけないでくれますかね」
キャプテンがにこやかな取って付けたような笑顔で、私の頭の上に乗っていたくろの手を剥がすと
ちょっと威圧感を放つキャプテンに負けじと
「えー?澤村クン、幼馴染の俺らの仲を切り裂かないでくれますかね?」
「はいはい、すみませんね、でも今はこちらの烏野のマネージャーなので」
え、ちょっちょ、怖すぎかて、落ち着いて、どうどうどう
と、そこへ、敷地内の合宿所に手荷物を運び入れようとする一同の背後で音駒の山本の雄叫びが響き渡った
「うおおおおおお!?」
ガックリと両膝を地面に付き、崩れ落ちる
目の前には谷地ちゃんと、庇うようにして立つ潔子さんの姿があった
「じょっ....じょっ..!!女子が3人になっとる..!」
「見たか虎よ」
そこへ菩薩のような表情の田中が、スンッ後光を差しながら現れる
「これが烏野の本気なのです」
「くっ....眩しい....!!!」
あーあ、あそこは何をやってるのかな