第18章 懐かしの匂い
練習が終わっては、猫又監督にもお礼を言い、皆にも帰りの挨拶をする
『...け、研磨、帰ろう?』
「....うん」
研磨がジャージ姿見でこっちに来ると何処か不服そうに、気まずそうな表情が暗い帰り道の中電柱の光で見える
『...あの、ごめんね、病院終わったのに、連絡しなくて』
「....」
『そそれに、宮城に居た時も余り電話とか出来なかったし』
「....」
『け研磨の、声が聞けない、のは、視線が合わないのは、結構胸にくるものが、ありまして』
帰り道、研磨の横顔だけを見詰めては必死に言葉を紡ぐ
綺麗な金色の髪の毛が、街灯の光に当たっては歩く度にゆらゆらと揺れる
暫くの間、沈黙が続く、私にとっては数時間の感覚にも思えたけど多分本当に何分間の間だっただろう
「....こっちに、いる間だけでも」
『...!う、うん』
「頼って、欲しいし...傍に居て欲しい」
『...た頼り過ぎてるよ?ほら、お家にもこんなんなのに泊まらせて貰ってるし、優しくしてもらって「もっと、頼って欲しい、それにそんなのは頼った内に入らない」...ででも』
「お願いだから」
じっと猫のような瞳が私を射抜く、甘えてくる様にそっと手を取って頬を擦り寄せてくる
いつもの様な雰囲気の中とはまるで違く、まるで懇願される様に真剣な声で言葉を掛けられる
『わ、わかった、本当に有難うね』
「...約束」
ふわりと笑顔を見せてくれる
『うわああ、ほんとに、ごめんねえええ』
「ッ.....!?」
研磨の首に両腕を回してはぎゅっと抱き着く
すると研磨は驚いたように身を一瞬固めるも
何処か嬉しそうに、ふっと笑っては私をそっと抱き締めてくれた
「こっちも大人気ないことしてごめん」
耳元でそっと何処かしゅんとした声で言葉を紡がれるも、もうあんなガン無視はされたくないよおおおお
仲直り出来て良かったああ