第17章 インターハイ本番
それから、得点を両者31点まで積み上げたところで、及川のサーブが回って来た
澤村がなんとか上げたレシーブは、そのまま青城コートへ跳ねかえった
「くそ!スマン!!」
「あんなの上がるだけで有難いっつうの!」
『ぇ....ッ?』
徹の姿がお兄ちゃんのバレーをやっている姿と、はっきり重なって見えた
あのボールをあげる所から何故かあの光景が焼き付いて離れない
可笑しいなあ、うっすらと見えるなあとは思ってたけど
まさか、こんな所で、お兄ちゃんの面影が見れるなんて
泣きそうになりながらも眉下げては唇を噛む、ぼんやりと視界が霞む
今日見た中で1番最高のサーブ
青城のトスはライトの国見に上がった
「チャンスボール!!」
受けきれず影山が跳ね返したボールに反応し、国見がすぐさま助走距離を確保する
青城のマッチポイントだ
慌てて涙を引っ込ませてはじっと見詰める
くにみんは本当に中学の時から体力の温存の仕方が上手だなあ、楽しそうに笑ってる
さすが空たんとの私達の_うえッ!?空たんがこっち見た、、!!やばいやばい
ん?飛雄ちゃんの顔が強ばってるけど大丈夫かな、?
さすがしょーよー、大丈夫そうだね、仲良しだなあ、ほんと
「スマン影山。次は絶対お前のとこへボールを返してみせる。そしたらあとはいつも通り、お前がベストだと思う攻撃をすればいい」
「影山ァーッ!!!迷ってんじゃねえぞーッ!」
ベンチから菅原の叫びが飛んできた
「"うちの連中はァ!!!"」
向けられるチームメイト達ひとりひとりの目が、彼を信頼しているのが分かった
「ちゃんと強い」
『ちゃんと強いよ』
飛雄ちゃんと同じタイミングで言葉を紡ぐ
もう孤独の王様じゃないから