第16章 大志を抱け
全員で繋心くんの前に集合し.最後のミーティングを終えようとするのを先生が遮る
「あっ、ちょっと待って!もうひとついいかな!?清水さんと桜乃さんから!」
そう言って先生は端の方で伏目がちに立つ潔子さんの方を指した
とうとう見せる時なのかあ
つい期待した瞳で潔子さんを見てしまうと目線があい頷かれた
ややっぱりそうだ、、!
思わぬ展開にゆーと龍も期待した瞳で潔子さんを見てる
「激励とか…そういうの…、得意じゃないので…」
いつにもまして小さな声でそう言うと、大きな紙袋から何かを取りだした
先生と一緒に担いで梯子を登ると「せーの」で"それ"を大きく拡げる
部員たちの頭上に大きな横断幕がヒラリと舞う、烏らしい真っ黒の布地に、 白く力強い筆文字
― 飛 べ ―
それはあまりに彼らを激励するには相応し過ぎる言葉だ
「うおおおおおお!燃えてきたァァ!」
「よっしゃあああ!じゃあ気合い入れてー…」
「まだだ」
雄たけぶゆーと龍が小声で制した
「たぶん―…まだ終わってない」
部員一同が状況を飲み込めないまま2階の潔子を見上げると、彼女は頬を赤くして声を絞り出す
「がんばれ」
隠すように走って行ってしまうと上級生たちが揃いもそろってブワッと効果音付きで瞳に涙を溢れさせる
「清水…っ!!」
「こんなのハジメテッ」
キャプテンまでもがみんなと一緒になって泣く姿に1年が衝撃を受けた
ゆーと龍に至ってはもはや声の出し方すら思い出せないようで
「うわ…いつもはうるさい人達が声も出さずに泣いてるし…」
つっきーがドン引きしながら2人を見てはこちらを見てこいつもかと冷めた目でこちらを見た気がした
きききき潔子さんんんんんんんん
私も顔を両手で隠しては顔を左右に振り悶える
だだだって潔子さんのあの可愛らしさ見ました!?見ました!?
そんな乗り遅れ気味の1年を置いたまま上級生たちが拳を振り上げて叫んだ
「1回戦絶対勝つぞ!!!!」
「おおおお!!!」