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雑用係の小さな子

第2章 漂流少女


ドボンと音がしたところを見るとこの魚はまんまと逃げることに成功したらしい。

「……………このまま死ぬのかな?」

ぼそっと呟いた。だけどまぁいいやと思う。今まで騙してきた人々の顔が浮かぶ。

私の父親は海兵だった。母は私を生んですぐに死に、私は父や周りの人に育てられた。それなりに幸せな日々を送っていたが、あるとき海賊が父を殺し、私を攫った。その時から私は海賊にとって使いやすいトラップとなった。船が見えると私を海へと落とし、その船に拾わせ、働かせる。そしてその船を襲い、金品を奪う。その繰り返しだった。

死にたい。そう何度も思った。襲った船の中にはいい人たちもいた。その人たちを裏切っていく度に私の心が死んでいくのがわかった。

「……お父さん。私生きるの疲れたよ。」

このまま暗い闇が来ればいい。その私の願いと虚しく光が差し込んだ。
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