第2章 始まる前の準備を1つ
「んー…」
「いい加減、人のベッドで悩むのやめてくれない?」
あれから小一時間、自分の身に起きた出来事を整理した
とにかく、向こうの世界(もといた世界)で何かがあったその拍子に私はこっち(アニメの世界)に来てしまった
なぜそうなったのかは私にはわからないのでそれはもう置いておこう
で、ここからが問題
「私、どうしたらいいかな」
「知らない」
「な!ちょっとくらい考えてくれても!」
「名前も知らないあんたに考えることなんてない」
「あ、そりゃそうだ!」
自分に起こった出来事があまりに印象的過ぎて
挨拶から何までわすれてしまっていた
「私の名前は安藤さなえ
よろしくね!」
「俺は越前リョーマ」
「でね、リョーマ、これからどうすればいいかな?」
「…家に帰りなよ」
呆れたような諦めたような顔でいわれてしまった
そう、家…私の家…
いったいどこにあるのだろう
それに、親はいるのか…
「帰る場所がわかりません」
「え?」
「だーかーらー、わからないの!家が!」
「何いってんの?」
バカにされた顔…
いや、分かってた!わかってたんだけども!
これ以外に言えることがない…
これはもう、ほんとのことを話すしかないようだね…
「リョーマ、今から言うことは嘘でも何でもないから聞いてほしい…
私、トリップしてきたみたいなんだ」
「…は?」