第4章 これからが本番
「私!記憶喪失じゃなくて、トリップしてきたんです!!」
ポカンとする大家さん
ご飯を食べ続けるリョーマ
ぎゅっと目を瞑っているさなえ
しばらくして大家さんが口を開く
「トリップって…なに??」
またも沈黙が広がる
今度はリョーマを箸を止めてポカンとしていた
二人は大家さんにトリップがなんなのかを説明する
「なるほどねぇ
つまり、さなえちゃんはこの世界の人じゃないってかとか」
「はい…急だったので親がいるかもわからないですし、私が知ってる世界とこの世界は別だと言うことしか私にはわからないんです
あと、この事を知ってるのはここにいる3人だけなので、できるだけ他の人には内緒にしててほしいです…」
「そうだね、さなえちゃんの知ってる世界と違うとはいえこの世界を変えちゃうようなことがあったらダメだもんね」
「はい…」
「大丈夫だよ、君が記憶喪失でもトリップしてきた子でも
僕は君のことを全力でサポートする」
「大家さんは、どうしてそんなに優しいんですか?」
「んー、まぁ、簡単に言うとね、僕には弟がいたんだ
でも、事故で無くしちゃってね
それ以来年下の子達がかわいくて仕方ないんだよ」
そういいながら私の頭を撫でてくれた
すごく優しい目で
私にお兄ちゃんはいないけど
お兄ちゃんってこういう人なのかなって思った
「大家さん!私、この世界にいる間大家さんの妹になります!!」
「ほんとかい?それは嬉しいなぁ…
でも、気持ちだけ受け取っておくよ」
「どうしてですか?私じゃダメですか??」
「ううん、そうじゃない
もし、君が元の世界に戻ってしまったら僕は悲しくて仕方なくなるでしょ?
だから、たまに僕とご飯を食べてくれるだけで充分さ」
「はい…」
また、頭を撫でてくれた
嬉しくなって自然と笑顔になる
「たまには君も食べに来てね」
そう言ってリョーマの頭も撫でた
リョーマは少し照れたようにうつむいたけど、笑ってた
大家さんの手は大きくて暖かくて優しかった