あなたの声が聞きたくて【another story】
第4章 花巻貴大
ホテルのロビーで豪華に飾られたシャンデリアを眺めながら選手たちの到着を待った。
思い出すのは優を好きになってからの日々。
少しでも近づけるように休憩中に話し掛けたり、
テスト前にちょっとやるだけだった勉強も普段からやるようにしたり
岩泉と付き合ったって聞いた時、死ぬ程悔しくて、諦めようと思っても諦めらんなくて、、、
諦めらんねーなら吹っ切れるまで好きでいようと決めて、やっと叶った恋。
付き合ってから今まで一緒に過ごせる時間は多く無かったけど、気持ちは全く変わらなかった。
それを今日、ちゃんとカタチとして、、、。
「っっっやっと戻ってこれたぁぁぁ!」
選「声でかいよバカ優。」
優「なっ!私は頭脳明晰ですぅー」
選「そういう意味じゃないよバカ。」
優「バカって2回言ったなぁ!?」
大きな声にチラホラと聞こえる拍手。
あぁ、彼女が来たんだ。
俺の愛しい彼女が。
「優。」
チームメイトとじゃれ合う優の背中に優しく声をかけると、来てくれたんだ!と笑った。
「観に来ないわけ無いだろ?おめでとう。」
優「へへっ、ありがと!」
眩しいくらいの笑顔にあの頃と変わらない胸の高鳴りを感じた。