あなたの声が聞きたくて【another story】
第4章 花巻貴大
長身揃いな相手チームに対し、平均身長で10cmも劣る日本。
ブロックの高さも、スパイクの打点も、数値で言ってしまえばたかが数センチの差。
けどバレーに置いて、その数センチが命取りになることを俺らは嫌ってほど知ってる。
ズダンッ
日本のスパイクが相手の高いブロックに阻まれた。
1セット目が始まってまだ半分だというのにもう3本目だ。
観客だって一瞬怯んでしまう。
及川も岩泉も、あの牛若ですら顔を顰めた。
なのにあいつは、
優は高いブロックを目の前にして
楽しそうに、笑った。
「とんでもねーやつを好きになっちまったもんだな。」
及「今からでも俺がもらうけど?」
「死んでもくれてやんねーよバカ。」
その後すぐ、優が率いる日本のコンビネーションを駆使した反撃が始まった。
男子がパワー重視のプレーなら、女子はテクニックや技術重視のプレーだと言うのをいつだったか聞いたことがある気がする。
目の前で繰り広げられているのはまさにソレで、
マイナーな速攻や時間差、バックアタック
相手を嘲笑うかのようなツーアタック、
ブロックを引き剥がすワイドブロード。
持てる技術のすべてをつかい、相手を翻弄した。