あなたの声が聞きたくて【another story】
第4章 花巻貴大
それから優の新しいシューズを買って隣りにあったショッピングセンターを回った。
女子らしくて入るのが大分躊躇われる雑貨屋。
俺一人なら死んでも入れない。
優に引きずられるように店内に連れて行かれ、落ち着かない雰囲気にキョロキョロと視線を動かしていた。
優「貴大、なんだか不審者みたいだよ?」
「うっせ!落ち着かねーんだよ。」
優「ふーん。あ、手出して?」
「ん?こうか?」
優に向かってスッと出した腕に茶色っぽい何かが巻かれた。
優「ん!やっぱこれだな。」
一人満足して俺に巻いた一本とそれとは違うもう一本を持ってサッサとレジへ向かってしまった。
「あ、おいちょっと!」
何がしたかったのか分からない俺は、その場に置き去りにされてしまった。
会計が済んだらしき優の手にはタグのついていない商品が握られていた。
優「これ、貴大の分!」
そう言って腕に着けられたのは優の髪の毛の色と同じ色の革のブレスレット。
優「ちなみに私はこれだよ」
優の腕についていたのは俺の髪の色と似た革のブレスレット。
優「お揃いだよ!」
嬉しい。嬉しいことは嬉しいが、、、
「女に金を払わせてしまうとはッ!」
優「気にすんのそっちかよ。」