あなたの声が聞きたくて【another story】
第2章 及川徹
迎えた14対13
日本のマッチポイント
サーバーは俺。
何だよ俺、昔からこうゆう場面でのサーブ多くねえか?
高校の時からずっとじゃんか。
そして今だけは、、、本当に回って来ないで欲しかった。
ズキズキと膝が痛む。
けどあと一点。
ふと優のいた所に目を向けると
とても真剣な目で俺を見ていた。
その目を見たら何故か安心して笑いがこみ上げてきてしまった。
岩「笑ってんじゃねーぞクソ及川。
いいか、最後だ。何も気にしねーで思いっきりでいいぞ。」
「、、、うん。」
ジャンプサーブを打つようになった頃からずっと続けてきたルーティーン。
優とまったく同じ動作をして
顔の前で祈るようにボールを持ち、高く放った。
「ッ!!」
踏み切った時に痛みが襲ったけどもう跳んでる。
あとは全力でスイングすればいい。
あ、当たり方イイ感じ。
ドパッ__
鈍い音と共に放たれたボールは
誰の手に触れることもなく相手コートに落ちた。
ピーーーッ
「、、、っっしゃああああ!!!」
一瞬の沈黙の後、会場に大きく響いた歓声。
俺達が勝ったことを意味していた。