あなたの声が聞きたくて【another story】
第11章 澤村大地
あの時よりずっともふもふした暖かい毛布と布団を被って、あの時と同じように抱きしめていた。
疲れていたのか優は直ぐに眠りについたけど、俺は勿体なくて寝れなかった。
あと2日もすれば卒業で、5日後には優はひと足早く東京に行ってしまう。
そんなに時を置かずして俺も行くのだけれど
この温かさも
この無邪気な寝顔も
愛らしい笑顔もすべて
暫くお預けとなってしまうのだから、
せめて記憶に刻んでおきたい。
「好きだ…」
ポツリ呟いて優の身体きつく抱き締めた。
このまま時が止まってしまえば____
そう思うほどに幸せを感じていた。