あなたの声が聞きたくて【another story】
第11章 澤村大地
コーヒーを半分くらい飲んだところで優が口を開いた。
聞かなきゃ、ダメだよな…
「あのね、多分だけど、しばらく会えないかもしれないの。」
きっとこれまで以上に。と彼女は言った。
「もしそれが辛くなったり、堪えられなくなったりしたら…」
「優。」
ピクリ、伏せられたまつ毛が揺れた。
「おれ、将来の話とかあんまりしたこと無かったけどさ、」
一呼吸、たっぷり息を吸い込んで
「スポーツトレーナーになりたいんだ。国家資格をいくつか取らなくちゃいけない大変な仕事だけど」
この仕事を選んだのはさ
「少しでも優に近づきたかったんだ。」
少しでも世界で活躍していくであろう君の役に立てるように。及川や岩泉達とは違う立場で、でも一緒に歩んで行けるように。
だからさ、
「別れるつもりないよ。優が俺を嫌いにならない限り、俺はずっとそばにいる。」