あなたの声が聞きたくて【another story】
第11章 澤村大地
彼女が合宿から帰ってからも殆ど会うことは叶わず、電話やメールが俺達を繋ぐ主な手段となった。
『大地くん、今度デートしよっか』
薄っぺらいスマートフォン越しに聞こえる彼女の優しい声。
「いいよ。どこに行こうか」
俺は笑って答える。
『観たい映画、あるんだ。』
「映画は久しぶりだなぁ。」
『それから、スポーツ用品店寄って、お買い物もして、それからね……大地くんのお家に行きたい。』
どくん、心臓が大きく脈を打つ。
「いいよ。泊まる?」
『大地くんがいいなら。』
「じゃあ、泊まっていきなよ。」
『ありがとう。』
「日ちにはいつが良いかな。」
『来週の土曜、10時にあの公園に、ってのはどう?』
「そうしようか。」
おやすみ、と互いに言い合って終話ボタンを押す。
来週の土曜__
二日後に卒業式を控えた日