あなたの声が聞きたくて【another story】
第11章 澤村大地
かくして始まった俺達の付き合いはとても静かなものだった。
受験生な上に部活を続けている俺と彼女。
お互い練習の日々で休みが一致する事はなく、たまの逢瀬ですら僅かな時間しか俺達には与えられない。
それでも、俺は彼女のことが好きだった。
電話越しの眠そうな声も、シンプルだけどちゃんと相手を想いやってくれてるメールの文字も
すべてが愛しくてたまらなかった。
これなら距離が離れていてもやっていける筈だ。
そんな浅はかな考えを抱いたまま、優にとうとう招集がかけられた。
12月の上旬、冬にしては少し早めの
はらはらと雪の降る日だった。