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あなたの声が聞きたくて【another story】

第2章 及川徹









あれから3ヶ月。





優は一度も宮城に帰ってこなかった。



東北特有の大雪や、実力を認められて参加が決まった海外遠征が原因だった。





教室の窓から見える景色には狂い咲きともとれるほど早く咲いた桜が見えた。



今日で3年間通ったこの学校ともおさらばだ。



3年前一緒に学校の門を通った彼女は今は隣にいない。


今頃海外だろうか。




岩「こんなとこいたのか。」


「岩ちゃん、、、。」


岩「あいつも今日くらい帰ってこれたらよかったんだけどな。」


岩ちゃんも俺と同じ気持ちだった。


「仕方ないよ。あいつはプロなんだから。」


岩「思ってもねーことを。」



さすが岩ちゃん。俺のことなんてお見通しなんだ。



岩「体育館行くぞ。バレー部の奴らが待ってる。」


「うん。」




空いたままだった優の机をそっとひと撫でして岩ちゃんを追った。





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