あなたの声が聞きたくて【another story】
第10章 岩泉一誕生祭【番外編】
会社に行けば当然のように社員達に囲まれてプレゼントを渡された。
「今かよ…」
「邪魔だからな!」
「いや俺もだから。」
出勤早々両手に荷物を抱え、デスクに向かうとそこにも盛られたプレゼントが。
「いやマジ帰る頃に渡してくれよ!」
と言ったところで無駄なのは分かっているのだけれど。
「今日1日甘やかしてやんよ。」
そう言ったのは綺麗な女の先輩…
なんて事はなく、柔道部出身のゴツイ男の先輩。
「じゃあ私もそうしようかしら?」
俺の腕をスルリと撫でるのは今度こそ俺の課一番の美人な先輩。
「やーめといたほうがいいっすよ、先輩。」
隣の課から声をかけるのは及川。今日は比較的静かだ。珍しい。
「岩ちゃんの奥さんちょー恐いから。」
「そうね、やめとくわ。」
妖艶に笑った彼女は大人しく自分の席に戻っていった。