あなたの声が聞きたくて【another story】
第8章 国見英
部活を終え、制服に着替えて部室から出ると既に体育館前の階段に座っていて、俺は急いで向かった。
「優さん早いっすね」
「まーね!早着替え得意だから!」
とか言いつつ、リボンちゃんと着けれてないっすけどね。
「ちょっと待ってください。」
彼女の襟元に手を伸ばせば戸惑いの声を上げた。
「あ、あきら?」
無視して襟の上に掛かったリボンを直せば、優さんの顔が赤く染まった。
「せんぱい?何勘違いしたんですか?」
「~~ッ!」
揶揄いながら手を差し伸べると怒りながらも手を掴んでくれた。
立ち上がって校門へ歩き出すと背後からかけられる声。
「国見ー!!優さん独り占めとかずりぃーぞー!!!」
「あーすんませーん。」
矢巾さんの文句にシカトを決め込んで再び歩き出す。
せっかくの二人の時間、邪魔して欲しくないんですけど。