あなたの声が聞きたくて【another story】
第6章 松川一静
家の明かりもポツポツ消え始めるこの時間帯。
さすが東京(?)、夜になってもまだ暑い。
宮城はもちっと涼しかった気がする。
おかげで繋がれてた手は汗を気にしてか緩くしか握ってくれない。
優「ねー徹のあのプレーさぁ高校の時ならやんなかったよね?」
「あー確かに。意地でもやんなかったな。」
さっきから試合の話ばっかして、俺らも大概バレー馬鹿と言うか何と言うか。
うーん、つか家行ってからじゃ言いたかった事言えない気がする。てことは今言うしかなくね?
ゆるく繋がれていた手に少しだけ力を込めた。
「なー高崎さん。」
優「なぁに?松川さん。」
俺の顔を覗くようにして聞き返す姿は何とも可愛らしい。
何年経ってもやっぱ好き。
「お前も松川さんになるつもりない?」
そう言えばピタリと止まる優。
やべぇマズったかな?タイミング違った?
顔を見ればビックリしてますって表情。
優「それ、プロポーズってやつですか?松川さん。」
「プロポーズってやつですね。」
改めて言われると恥しいもんで繕ったポーカーフェイスは崩れつつある。
くそ、こんなつもりじゃなかったのに。