あなたの声が聞きたくて【another story】
第6章 松川一静
試合は終わり、表彰式も済んで選手達の控え室に向かおうとしたけど優勝した直後だからなのか、はたまた及川が優の名前を出したからなのか
控え室へとつながるロビーにはたくさんの報道陣がいた。
優勝したばっかなんだから少しは休ましてやれよ
そんなふうに思ったけどあの人らも仕事なんだもんな。外で出待ちしてる娘らは知んねーけど。
優「また後でおめでと言いに来よっか。」
「そうだな。」
とか言いつつ優も有名人だから今は見つかりたく無いので帽子やサングラスで軽く変装して会場を抜け出した。
何時間ぶりに見た空はもう一面群青色に染まっていて、天の川が見える。
優「今日私ん家でいいよね?」
「もちろん。」
このお誘いを断る術をあいにく俺は持ち合わせて無い。
持ってたとしてもそんなもんポイだポイ。そこら辺に可燃物と一緒に出してやる。
会場の最寄り駅まで学生気分で手を繋いで歩いて、電車に乗ったら呑みの帰りらしきだる絡みのハンパない酔っぱらいのオッサンから優を守るように立って目的の駅まで堪えた。
いやだって問題起こして優にメイワクかけらんないしね?
電車を降りれば人はポツリポツリとしか居ない
優「いっせ、行こ?」
「おう。」
差し出された手を握って駅を出た。