あなたの声が聞きたくて【another story】
第6章 松川一静
優の物が沢山詰まったキャリーケースにバレーで使っていたエナメルバック、
そして商売道具にもなる俺と色違いで揃えたバレーシューズを持つところを見るとあーやっぱり行っちまうんだななんて思い始めた。
『〜~新幹線、東京行き、間もなく1番ホームに到着致します。』
クソ寒い駅のホームに響く無機質なアナウンスは別れの時が近いことを告げていた。
「優、東京もきっと寒いだろうしコレあげる。」
俺の首に巻かれていたマフラーを外し優の首にふわりと巻き付ける。
それと同時くらいに新幹線がホームにゆっくりと入ってきて停車位置で止まり、乗車口を開いた。
優「いっせ、、、」
「ん?ッ、、、」
ピーコートの襟をグッと引き寄せられ、俺と優の唇は強制的に重なった。
優「行ってきます!」
俺のマフラーを靡かせながら車内に駆け込み、今日一番の笑顔でそう言った。
「ずりぃ。反則だろ、、、」
発車してしまった列車を見ながら思わずこぼれた。
最後の最後に、なんてモノを残していくんだあいつは。
次いつ会えるかも分からないのに。
今度会ったらきっと、、、
「手加減してやれねーな」
花「おい空気」