あなたの声が聞きたくて【another story】
第6章 松川一静
「優。」
俺が呼べば、誰と話していても必ず振り返って手を振ってくれる。
そんな彼女が好きだ。
「優こっちおいで。」
腕を引けばすっぽりと俺の体に収まる小さな優。
今度彼女の温もりを感じられるのはいつになるだろうか?
「優スキ。」
優「私も好き。大好き。」
相当力が篭っているはずなのに痛いとも苦しいとも言われなかったのは優も少しでも俺を感じていたいと思ってくれていると思っていいのだろうか。
「今度コッチ戻ってくる時は一番に俺に会いに来て。」
優「うん。絶対一静に一番に会いに行く。」
身体を離して優の顔を覗くと、目元が少し潤んでいるのが分かった。
「泣いちゃう?」
優「泣いちゃわない!!」
「無理だけはすんなよ。ツラくなったらいつでも電話して?」
優「うんッ、、、ゔんッ、、、」
母「優、そろそろ時間よ?」
しばらく付き添いとして東京に一緒に行く優のお母さんに促され、優の体からそっと手を離した。