第4章 ◆休暇任務
「 そもそも、こいつら
この辺一帯でのびのび生活してるんさ。
人がわんさか近寄らなければ
それで充分生活できるだろ。」
『・・・そうだね。』
俺がゆっくりと話せば
軽く何度か頷き微笑むサラは
その場に立ち上がった。
「 そろそろ、行くさ?」
『うん、
コムイさんに報告しなきゃだしね。
・・・また、来るからね。
元気で居るんだよ。』
サラが完全に立ち上がったのを確認して
俺が出発の声を掛けると
サラは子犬達へ振り向き
1匹ずつ頭を撫でている。
その言動に何処か和む俺は
サラに見えない位置でふっと微笑んだ。
「・・・さて、サッと行きますか。」
サラが犬達の頭を撫で終わると
俺は鉄槌を構えた。
『うん、そうだね・・・
・・・サッ と・・・?』
1度は肯定したサラは
俺が鉄槌を構えるのを見るなり
一気に明るい表情を失う。
「 ・・・ビュッと行くさ。
一瞬で本部戻れっから。」
鉄槌を反対に向け柄の部分を握れば
俺はニッと笑いサラに向き直る。
『え、それっていつもラビがやってる
例の高速移動手段・・・だよね?』
苦しそうに笑って問い掛けるサラの表情は
少しだけ青い気がした。
「 そうそうー・・・って
何で下がってるん?
ほら、行くさ?」
何故か、徐々に俺から後退していく
そんなサラに突っ込んで
手を差し伸べるが・・・
『わ、私はいいよっ。
歩いてくから。その、歩くの好きだし。
まだ、歩き足りてないかなって
丁度思ってたんだっ。ハハハ・・・。
じゃ、そゆことでっ!』
無理な言い訳を早口に喋り終えると
小さく片手をあげ去って行くサラ。
「 あ、こら!待て!
逃げるなサラ!」
俺はやっと、
・・・やっと、サラの・・・
ーバシッ!
俺はサラが後退する姿から
逃げることを想定し、
子犬追っ掛けてた時のサラの走りを思い出して
すぐ様行動パターンを読むと
走りの早いサラが本気出す前に
その腕を掴んだ。