第4章 ◆休暇任務
『わっ!・・・ちょ、ちょっと
離して!
・・・嬉しいけど、離して!』
「 こら、暴れんなって!」
激しく暴れるサラを何とか抑えながら
俺は思いっ切りニヤけていた。
・・・そう、
あれだけ俺の周りをベタベタと
くっついていたサラが、
俺の差し出した手を振り払う理由なんて
ただ一つしかない。
「 ・・・なぁ、サラ。
・・・サラって
高い所、苦手なんさ?」
今までしてやられていた事を思い出せば
俺にとっては面白い事この上ない今の状況。
満面にニヤニヤと笑いながら
俺はサラに問い掛けた。
『っ!
・・・えっと、その・・・』
俺の言葉にサラは
身を捩っていた動きを止め
言葉を濁しながら俯く。
『・・・苦手。
・・・高い所、怖いから。』
呟くように言葉を発しながら
躊躇いがちに俺を見上げる。
「 ・・・ふっ。」
楽しくて堪らない俺は
不意打ちのサラのその表情に
堪えていた笑いを小さく漏らした。
「 やっぱか。」
ーやっと、
掴み所の無いサラの弱味を掴めた。
そんな喜びを噛み締めていた俺は
素直に高所恐怖症を白状するサラに
ドキリと別の感情が同時に湧いていた。
「 ・・・大丈夫さ。
俺が居んだから、な?」
『えっ・・・。』
サラに安心させるよう
声のトーンを引くして言い聞かす。
「 だから、ほら
来いよ。」
『ラビ・・・。』
再度声を掛ければ
サラの顔は赤味を帯びていく。
そして・・・
『一生ついていくよ!』
彼女は先程の態度を一変させて
俺の胸元へ飛び込んできた。
「 ぅぐっ・・・」
不意打ちだった為に俺は構えきれなくて
サラの飛び込みに情けない声をあげてしまう。
『・・・ラビ?』
「 あ、いや・・・大丈夫さ。
い、行きますか。」
サラの心配の声を受け流して
体制を立て直す。
しっかりとサラの腰を支えながら
「 ・・・伸!」
俺達はその森を後にした。