第4章 ◆休暇任務
『つらいよね、
ママのあんな姿見ちゃったら・・・。』
サラはそう呟いたあと
抱き上げた子犬をそっと
腕の中に閉じ込めた。
『でも、ママは命掛けて
君たち皆を守ってくれたんだよ。
・・・精一杯、生きなきゃね。』
「 サラ・・・。」
サラの言葉に応えるかのように
子犬達も引きちぎれんばかりに尻尾を振って
ワンワンと吠えている。
「 ほんと、サラに懐いてるさー。
あの母親もそうだけど、
こいつらはサラにも守ってもらった
って事、分かってんだろ。
そやってサラに擦り寄るのも
チビ達なりの感謝の表現方法なんじゃね?」
俺がそう言えばサラはふふっと笑って
子犬に頬を寄せた。
『・・・そうかなぁ。
私も生きてくれて嬉しい。
あ・・・、ねぇ、ラビ?
この子達にお家作ってあげようよ。』
閃いたようにポンと手を鳴らし
提案するサラに
俺は1歩引いた。
「 えぇ、
それまじで言ってるん?
犬小屋なんて
軽く作れるもんじゃねぇさ?」
『そうなの?
ラビなら木判で作れるんじゃないの?』
キラキラと夢を語るようなサラに
現実を突きつければひらりとかわされ
俺の鉄槌を指さす。
ー・・・いや、いやいや。
「 いや、これイノセンスであって
日曜大工のハンマーじゃねぇから。
対アクマ武器。な?」
サラの前に鉄槌を翳して説得すれば、
当のサラにはあまり
伝わっていないようで・・・、
『へぇー、
私はよく部屋に出る虫に
殺虫兵器として使ってるけどなぁ。』
・・・、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「 ・・・はぁ?!
何て物騒なもん日常で打っ放してるんさ!
部屋というか本部が壊れるから!
今日から辞めろよそれ!」
「・・・うーん、
ラビが言うならやめる。
手頃な鍛錬だったんだけど。」
・・・・・・。
まじかよ、おい。
この子ほんととんでもねぇさ・・・。