第4章 ◆休暇任務
「 ふぃ、」
スタッと地面に降りるのと同時に
目の前のアクマが爆破する。
『・・・成仏してね。』
「 成仏?」
ー・・・それって確か
日本の宗教の言葉だっけか。
『この子、チビちゃんたちと
同じバリケードに居たのに
チビちゃん達は襲わなかったんだよ。』
俺の質問はスルーして話すサラの視線は
後ろで待機しているチビ達に向けられている。
「 あぁ、・・・確かに。」
『お母さんとしての理性が
アクマになっても残っていたんだね。』
サラの言葉に賛同すれば
サラは哀しげに笑った。
『あの子が最後に話していたのは
子ども達のことのような気がする。
自分自身を沢山面倒みてくれてたラビに
子ども達をお願いしてたのかな。』
「 ・・・そうかもな。
しゃーねぇから、見てやるさね。」
フッと笑ってサラを見下ろせば
その姿は安堵したように
先程とは違う笑みを浮かべた。
『私も手伝うよ、ラビ。』
「 頼むさ。
流石にこんな多いと俺の手に負えねぇ。」
ゆっくりと子犬達の元へ
自然と足を進めれば、
木陰に隠れていた子犬達は
わらわらと出てきて
俺達の足元へ擦り寄った。
『怖かったねぇ、もう大丈夫だよ。』
サラは地面に膝をついて
子犬達を抱き寄せれば
子犬達も受け入れるように尻尾を振っていた。
「 そういや、サラ。」
『なぁにー?』
子犬達と戯れるその姿に
ふと浮かんだ疑問を投げかけようと
呼びかければ、声だけで返事をされる。
「 サラはなんで
あいつの急所が腹だって分かったんさ?」
子犬達の相手に参戦した俺も
サラの隣に腰を下ろして問い掛ける。
『んー、殆ど勘だよ。
お母さんってよくお腹を痛めて出産する
って言うでしょ?
命掛けて赤ちゃん産んでるんだから
命掛けて赤ちゃんを守るのかなぁって。』
子犬の1匹を抱き上げてサラは言った。
「 なるほどねぇ。」
その姿が何となく、
女性のもつ特有のものな気がして
俺は自然と視線を背けた。