第4章 ◆休暇任務
「 ーっ!」
俺は手に乗るそのワンコの 皮 を
眺めながら呆然と立ち尽くす。
『けほっ・・・う、そ・・・。』
すぐ傍で起き上がるサラが
まだ少し噎せながら、小さく呟いた。
ーカチャ カチャ・・・
俺の耳にしっかりと届く
先程の機械音とは違う機械音。
それは、
最早ワンコではないことを意味していて
ゆっくりと目の前に影を作っていく。
『いつの間に・・・。』
サラの言葉につられて
俺もその影の正体を追うべく視線を向ける。
「 ・・・やっぱりか。」
『こんな惨いことしなくても・・・。』
俺達の目の前には
カチャカチャと音を鳴らせて
ゆっくりと動く、
・・・アクマ。
『・・・。』
その姿をしっかりと目に焼き付けた俺は
手に持っていたその皮を下に置き
鉄槌を構える。
ー・・・これ、サラにはキツイさ?
ワンコのこと可愛がってたし。
このワンコを避難させたのはサラで
子犬達と戯れていた姿から察するに
サラが結構な動物好きなのは分かる。
可愛がってたワンコがアクマだったなんて
しかも、そのアクマを伐採するのは
俺でもキツイ。
「 ・・・。」
俺は無言のままサラよりも前に出て
鉄槌を構える。
そして、
「 サラ、ここは俺が・・・」
ーバンッ!
「 んなっ?!」
俺が言い切る前に放たれる銃弾。
その音に吃驚した俺は思わず横にずれる。
『え?何?』
特に何も感じていないのか、
アクマに向かって平然と銃打っ放すサラは
声だけで俺の言葉を聞き返した。
「 あ、いや、・・・ええと
な、何でも無いさ。」
さっき出かかった言葉は無かったことにして
サラと共に対アクマ武器を構える。
ーいや、いやいやいや!
エクソシストなのは分かるけど!
この子、悲観しねぇの?
さっきまで可愛がってたワンコさ?!
『・・・アクマはアクマだからね。』
「 え。」
俺の心を読み取ったかのように
零すサラの言葉は
とても無機質なものだった。