第4章 ◆休暇任務
ーあいつ、何やって・・・?!
数メートル離れたそこには
飛ばされたように横たわるサラと
そのサラの上に乗り
更に顔を舐めようとしているワンコ。
状況から見て、
サラひとりでああなった訳では無いだろう。
・・・となれば、
「 あのワンコ、
・・・もしかして?」
もう、可能性はひとつしかない。
『私、エサじゃない・・・よっ!』
馬乗りに乗っかるワンコをどかそうと
身を捩るサラの表情は
どんどん苦しそうになっていく。
「 サラ!」
ーカチカチッカチッ
咄嗟に駆け寄る間にも
その機械音は回数を増していく。
ー・・・サラとアイツ離すのが先さッ!
『 ・・・おも、いっ・・・!
なんで?・・・この子、
こんなに重かっ・・・たっ?!』
仰向けに倒れているサラの両肩に
ソイツは両前足を乗せて
サラを押さえ付けている。
「 うわっ!まじだ、重っ!?」
何とかその体を引き離そうと
全力で抱き上げようとしても
その体は全くビクともしない。
子犬と違って成犬のコイツの姿は
人間ほどの大きさは無いはずだが
何故かその体は重く、何となく硬い。
『 苦し、いよ・・・!
ワンちゃ・・・ん!』
ーカチッカチッ
耳障りな程鳴り響く機械音が鬱陶しい。
「 っ!オマエ、・・・仮にも
サラには子供助けてもらったんだろ!
その恩返しがこれ、かよ・・・!」
・・・ブチッ!
俺がそう言った瞬間に
先程の機械音とは別の音が木霊した。
「 ・・・っ!」
今まで引っ張っていた腕が急に軽くなる。
それはソイツがサラから離れた証拠で、
『 ・・・げほっ!』
サラの横にパタリと倒れるその体から
抜け出すように横に転がり咽るサラ。
そんな、俺の目の前には
半分になったソイツの下半身の・・・
・・・皮。