第4章 ◆休暇任務
あのクロス元帥が
ノアの中に居たっていうサラを
連れ出して教団に置いた位だから
クロス元帥にとってもサラは
それなりに大切な存在なんだろう。
イノセンスの適合者で
エクソシストになってるってのに
機能が回復だけというのも
自分の身を守れないのは
戦闘においては負担となる。
当時の教団からすれば
戦闘に応戦出来る人材も欲しかったんだろうし。
まぁ、クロス元帥がどちらの意思で
この武器作ったんかは知んねぇけど。
・・・だけど、
「・・・イノセンスの代償、
自分にどんだけ来るんさ?それ。」
『 ・・・うーん。』
そこまでイノセンスの力を
多方面に使えるという事は
その分、その身にも
かなりの負担が掛かるはず。
それを毎度負っているのかと思うと
少しぞっとする。
しゃがみ込むサラに視線を下げて
ワンコを抱くその姿に質せば
一瞬困ったように笑うサラ。
『・・・結構、ボロボロになるかな。
回復の際は一度体内に毒を通すし。
昔は、
死にかけちゃう時も何度かあったけど
今は慣れてきて
コツ掴んで使えるようになった
っていうのもあって
1日寝てれば大体元通りになるよ。』
ほら、とカーディガンの袖を捲って
昨日巻かれていた包帯の痕を俺に向ける。
・・・。 ・・・確かに、
差し出された華奢なサラの腕は
昨日痛々しい程に巻かれていた包帯からは
想像出来ないくらいに
薄らと痣ができているだけだった。
・・・アレンと一緒さ。
こういうタイプは
アレンと同じ寄生型。
今までのアレンの戦い方を見ていて思う。
その傷は薄れているけれど
傷を負った時の痛みは薄れない。
俺の前では普通の女の子で居たい。
そう言ったあの姿が脳内に焼き付く。
きっと、普通に生きていけたら
こんな想いも・・・。
これ以上・・・、
「 あんまり、
無理すんなさ。」
最低限のそれだけを言って
サラの頭に軽く手を乗せる。
『 ・・・ラビ?』
不思議そうに見上げるサラと目が合う。
その顔は赤く
『 絶対に無理しないよ!』
相変わらず素直にそう答えた。