第4章 ◆休暇任務
「 ワンワンッ」
その白い物体が俺に近付き足元に擦り寄ると
尻尾を振って甘く吠える。
ーそう、その白い物体は
アクマなんかじゃなく、野良犬。
「 おいおい・・・、
お前かよー。びっくりさせんなさ。」
緊張で強ばっていたものが一気に脱力する。
未だ俺の足に飛びつくワンコを見て
その場にしゃがんで頭をなでると
ワンコは気持ちよさそうに
更に頭を俺に擦り寄せた。
『 ・・・ふふっ。
ラビに懐いてるってことは
・・・あの子達のお母さん?』
このワンコの登場で
俺と同じく一緒に脱力したサラが
静かに近付いて俺の横にしゃがみ込む。
「 そうさ。
どこ行ってたんさー?
チビ達心配してんぞ。」
誰にでも甘える人見知りのない野良犬。
まぁこれで生きてるようなもんだから
誰にでも懐くんだろう。
「 なんか、拍子抜けしたさ。」
ワンコとサラが戯れる姿を見て、
俺はため息をひとつ零して立ち上がる。
『 危ないから、
この子も避難させなきゃね。』
「 あぁ、そうだな。
・・・サラ、
チビ達どこ連れてったんさ?」
そういえば、ワンちゃんアクマから守った
とか言っていたけど。
『 うん、バリケードの中だよ。』
「 ・・・・・・???
ば、バリケード・・・?」
さも、当たり前のように言うその言葉は
俺にとっては初めて耳にする言葉。
『 あ、私のイノセンス。
基本的な能力は回復なんだけど、
回復する時に使う力で
一時的にバリケードができるんだ。
ファインダーの機械や
ミランダさんの力に比べれば
遥かに劣るんだけどね。』
そう、さらりと説明してくれるサラ。
ー・・・攻撃も出来て、回復も出来て
一時的にバリケードも張れるなんて・・・
「 ・・・多機能なイノセンスさな。」
『 回復がメインだから
戦闘力は低いんだけどね。
でも、
クロス元帥が自分の身は自分で守れ
ってことで、これ作ってくれたの。』
ポロっと出た俺の本音に対し
サラはにっこり笑って
手に持ったピストルを左右に振った。
ーなるほどね。