第4章 ◆休暇任務
2人で手を繋ぎ歩く中、特に会話もなく
目的とする店までの道のりを
ゆっくりと歩く。
『・・・あ。 』
徐々に店へ近付く中で
隣のサラが何かを思い出したように
小さく声を上げた。
「 ん?何さ?」
商店街から少し離れた場所へ
視線を向けているサラに釣られて
俺も其方へ視線を向けるが
何も変わったことが無く
サラの次の言葉を催促する。
『朝のワンちゃん。
・・・パパは居たけど、
ママは何処に行ったんだろう?』
ふと、気になっちゃって。
そう付け加えながら、
サラは俺に向かって軽く笑った。
「 あぁ、そうだなー。
俺が見に行く時いつも夫婦でいたから
それは俺も気になってたんさ。
・・・見に行くか?様子。」
そういえば、母親が居なかったのは
俺も疑問だった。
その代わり、
大勢の子犬が居たのには驚いたけど・・・。
気になる様子で話すサラに
提案すればニッコリと笑い
『 うん。』
そう短く返事をした。
「 ワンコたち見てから
あそこの店行くか。」
『 いいね!そうしよっ。』
余程気になるらしいワンコ達の存在を
確認するとなれば、
コロッと笑顔になるサラ。
ー・・・そうと決まれば。
先ほどの畔へと目的地変更。
来た道を戻るように
ゆっくりと方向転換すれば
サラは小走りに着いてくる。
「昼寝でもしてて起こしちゃ悪いから
そーっとだぞ?」
『 あ、そうだね!
気付かれないように
気配消すよ、私。』
野良犬は人の気配に敏感だからな。
そう注意すると
本気で気配を消し始めるサラに
思わず吹き出しそうになった。
「 ・・・いや、まだいいさ。」
『 え、そう?』
本当に聞き返してくるところを見ると
やっぱり、態とでは無かったようで
『 じゃぁ、着いてからにしようっと。』
サラは気配をいつも通りに戻すと
楽しそうに歩き始めた。