第4章 ◆休暇任務
『 ・・・?』
きっと自分では見えてないんだろう。
俺を直視しながら
不思議そうな顔をするサラ。
「鏡、見てみ。」
俺は目の前にあった
吊るされている楕円形の小さな鏡を指差し
隣のサラを鏡の前に移動させた。
『 ・・・わぁ。』
俺の差し出したアクセサリーをサラに持たせ
サラ自ら、鏡でその姿を確認すれば
それはそれは嬉しそうに
色々な角度から鏡を見て微笑む。
「 うん、サラに似合うさそれ。」
『ほんと・・・?』
素直に褒めれば、顔を赤くするサラ。
俺が選んだのは
ワインレッドと紺の細い2連リボンの髪留めで
リボンの先端には小さなゴールドの装飾があり
リボンと言っても
とてもシックなデザインだった。
一見、アジア系のサラの髪色は
俺と同じ暖色が薄く入っていて
瞳の色も髪色と比例して
漆黒というより赤味がかっている。
今日は下ろされている髪だけど
いつもは一つに結ばれていて
それを結んでいるのは真っ黒な
色気の無いただのゴムだった。
動けばふわり、と揺れる
毛先にカールのあるサラの髪は
リナリーやユウとは違って
完全なるアジア系ではなく、
それでいて女の子らしさを出していた。
「 サラ、いつも髪縛ってるだろ?
こんなんの方が年相応で可愛いさ。」
そう言って微笑むと
みるみる間に赤くなるサラ。
ー・・・なんさ、
可愛い反応もするんじゃん。
「 すいませーん。
これ下さーい。」
そんなサラを見てふっと笑い、
俺は会計をしようと店主を呼ぶ。
「 はいはい、もうお決まり?」
俺の呼び声に反応した店主が
アクセサリーを並べ直していた手を止め
俺達の前に立つ。
「 お目が高いねぇ、お兄さん。」
サラの持つ髪留めを見るや否や、
当たり前のように褒める店主は
商品を受け取るべくサラの前に手を出した。
そして、サラは俯きながら
店主に髪留めを渡す。
『 3つください。』
ハッキリとそう言って…。