第4章 ◆休暇任務
いやまぁ、何はともあれ。
「 俺らも腹減ったさー?
朝めし朝めしっ。」
一呼吸おいて手を鳴らす俺。
さっきのサラの話は無かった事にして
商店街の方へと進路を変える。
『あ、うん。そうだね! 』
俺の進路変更に上手く合わせるサラ。
『なに食べる?
私も勉強しなきゃなーお料理。』
ー…!!!
「 え、えぇと…、」
ー…それは俗に言う花嫁修業ってやつさ?
一気に圧力がかかるサラの発言は
もはや爆弾のようなものだ。
あんま下手な事、言えねぇさ…。
『 …ラビ?』
思わず発言に躊躇していると
返答を催促するかのように
彼女は優しく俺を呼びかけた。
「 はっ、え、ええと…
あ、 き、キッシュ!
キッシュのうまい店があるんさ!
そこなら、
モーニングでもゆっくり過ごせるから
そこ、い、行こうか。」
妙に慌てた口振りで
サラと目が合わないように話す俺。
自分自身でも痛いくらい分かる違和感。
ー…キッシュなら大丈夫だろ…。
料理を勉強するってことは
料理に対しての知識は殆ど無いはずさ。
そんな人が初めて作る料理に
キッシュなんて選択肢はない。
ハードルが高いはずだ。
うん、大丈夫。大丈夫…。
自信を持て、俺…!
そう言い聞かせてふと、
斜め後ろを歩いているサラを
振り返り見ると
『 …。』
「 …?
サラ?」
何にでも喜ぶサラだから
てっきり、
〝ラビの好きなものならなんでも!〟
なんてキラキラしてんのかと思いきや
そこには、表情もなく
ぼーっと俺を見詰めているサラ。
さっきまで挙動不審で
目を合わすことを避けていた俺は
そのままそんなサラと目が合う。
そして、
『 焼き肉、じゃないの…?』
ド真剣に聞いてくるそれ。
「 はいぃ?」
ー…何を真面目に聞いてるんさ。