第4章 ◆休暇任務
そうやって仔犬たちと戯れながら
時間は少しずつ過ぎていく。
ー…親犬、遅くねぇか?
俺達がここに来てから30分は経っていた。
畔から離れた商店街の方では
開店の音だろう、
シャッターが開く音が時折聞こえて
パンの焼ける香ばしい香りも風に乗ってくる。
俺は抱いていた仔犬をおろし
街の方へ視線を向けたその時。
『ねぇ…ラビ。』
不意にサラから声がかかった。
「んー?」
先に声だけを返し、
その後に顔をサラに向けると
サラは俺が見ていた方向とは
真逆の方を見つめていて
『 あの子、
この子達のパパかママかなぁ…?』
そう疑問を口にしながら
ゆっくりと指を差した。
それに釣られて俺もサラが指差す方へ
視線を向け、その見知った姿を確認する。
「あ、あれさ。」
視線の先には何やら大きな真っ白い布袋を
口にくわえて引っ張る一匹の犬。
ー…あの色は、オスの方だから父親か。
にしても重そうだなあの袋。
…よし。
「お前らパパだぞ。
出迎えるさ。」
そう言って俺は仔犬たちのお尻を
父親犬へと押し出した。
それを見ていたサラもふふっと笑い
ほかの子犬達へ同じ行為をする。
『 朝ご飯だって、はやく行っておいで。』
優しく声をかけながら子犬達を誘導すると
父親の姿を確認した子犬達は
飛び跳ねるようにして
父親のもとへ駆けていった。
一目散に走り去るその
子犬達の後ろ姿を見送りながら
ふっと微笑む。
『 賢い子達だね』
「おぅ、そうだな。」
サラも同じことを思ったらしい。
『 人懐っこくて可愛いし』
「おぅ、そうだなぁ。」
『 私達の子もああだといいね。』
「おぅ、そうだ……ッな?!」
ー…こっ、子?!
何故そうなる?!
ニコニコとしながらサラリと話すサラ。
「いや!な、何言ってるんさ!
色々ぶっ飛びすぎ!」
いきなりの発言に慄く俺に対しサラは
ニッコリと俺の方を向いて
『 大丈夫だよ、
しっかり順序立てるつもりだから。』
ー…問題はそこじゃねぇ!