第3章 ◆過去と今
『ラビと出逢って、
私の世界が変わって、
ラビと一緒にいる時間が凄く幸せで
気付いたら笑ってた。』
ニコニコと話すサラの視線が
徐々に下がる。
『ラビの前では普通の女の子で居たかったから
同じ任務は断ってたの。
戦うなんて女の子らしくないし
戦闘でボロボロになった姿は可愛くないでしょ?
それに、私の戦い方は特殊だから、
ラビを守れる自身もなくて。
ノアに居たことだって、
本当は話さないつもりだったの。
ブックマンは知ってるし、口止めもしてある手前
ラビと任務一緒になればおのずとバレちゃうしね。
バレちゃったら、
今までより更に避けられちゃうんじゃないかって。
ちょっと怖かったの。
でも、ラビにこのこと話しちゃったから
後戻りは出来ないんだけど…。』
ヘラっと笑って、肩を落とすサラは
冷え冷えとする部屋の中で
静かに両肩を抱いて摩っていた。
「サラはバカさ。」
俺は任務から帰還のそのままの服装で
マフラーを脱ぐとそのまま横にいるサラに被せる。
『え?』
降ってきたマフラーを確認して
サラは頬を染めながら
俺の言葉に首を傾げる。
「そんなんで、俺が引くと思ってるんさ?」
ー…そんなことより、俺
あなたのストーカー行為に引いてるさ。
「サラに守られる程
俺は弱いつもりはねぇし、
サラくらい、俺が守れるから
ボロボロになんてさせないさ。」
その場に立って、本心は隠したまま
隣に座るサラへ視線を下げてそう言うと
サラの目はキラキラと輝き出し、
『やっぱり、ラビってカッコイイ!』
いつものサラに戻った。