第2章 ◆任務の後
『ラビ…?あの、これは…』
俺の腕の中で何やら訴えようとしているサラが
いつも程ではないが少しだけ頬を染めて
俺を見上げている。
「ん、何?」
反射的にしている事を深く追求されても
答え用のない俺は、サラの質問だけを答える
という最小限に抑える為に
発する言葉も最小限にする。
…ずるいなー俺。
きっと、サラも困ってるんだろう。
ふと、視線だけをサラに移すと
サラは先程よりも恥ずかしそうに俯いていた。
そして、
『こ、これは一体、ななんていう夢ですか?
もし、かして私…し、死ぬのかな…。』
「…。」
俺の腕の中で今までの流れが一気に
台無しになるような事をサラは呟くように、話す。
…今すぐ、降ろしてぇ。
いつものサラに戻った所で、サラの部屋の前につく。
相変わらずぶつくさ変な方向の話を呟いている
サラは無視してそのまま中に入ると
入ってすぐ右にあるベッドへサラを横たえた。
そして、
「…サラの部屋ってこんなんなの?」
初めて入るサラの部屋をざっと見渡して
サラの呟きを止めるべく俺は話を切り出した。
『え?…あぁ、散らかっちゃうと嫌だから
あんまりモノは置かないようにしてるの。』
マイワールドに入っていたサラが
俺の言葉に現世に戻るとニッコリと笑って答える。
そう、サラの部屋は女の子にしては珍しく
やけにシンプル過ぎるというか、殺風景。
そんな部屋に点滴やらが置かれているせいで
ただの病室にしか見えない。
「へー、で?
任務の度クロちゃんに吸血させてるって本当?」
世間話で油断させておいてこんな事を聞くなんて
俺はやっぱり卑怯だ。
サラは大きな目を丸くさせて
俺を見上げている。