第2章 ◆任務の後
「リナリー、どゆことさ?
前にも同じことあったんか?」
アレンによって残されたままの
気まずそうなリナリーに向けて
俺は追い討ちをかけるように近付き問い掛けた。
「…そうね。
ここまで来たら言わないわけには行かないわよね。
サラには悪いけど…。
サラ自らクロウリーに吸血させてることは
前にもあるどころか、良くあるの。」
…なっ?!
「そんな、頻繁にか?」
リナリーの発言に目を丸くする俺に
リナリーはふっと微笑んで頷いた。
「ねぇ、ラビ。
ラビはサラと一緒に
任務に行ったことがないでしょう?
それに、サラのイノセンスも
知らないでしょう?
それは、サラが…」
『…リナリー、やめて。』
リナリーの話を無理矢理に止める
背後からの声にリナリーと俺は
瞬時に振り返った。
「サラ…。」
そこには、アレンに支えられながら
傷だらけになっているのであろう
包帯だらけのサラが立っていた。
「すみません、サラが行くって聞かないので…」
アレンが申し訳なさそうに笑ってサラに視線を送る。
サラのその顔には血色が無く、
頬を赤く染めニコニコと笑って俺にくっつく
いつもの笑顔はない。
…アクマ倒しに行っただけだろ?
なんで、そんなボロボロなんさ?
『…リナリー、
ラビには言わないで。
私、ラビに対してだけでもいいから、
普通の女の子で居たい。
だから、言わないで、お願い…。』
薄らと目に涙を浮かべて懇願するサラが
その場に崩れそうになるのをアレンが支え直す。
…怪我したばっかでそんな動いてたら
治るもんも治んねぇさ。
俺は少しばかりため息をこぼして、
リナリーが駆け寄ろうとする前に
俺がサラとアレンの前に立った。
「アレン、交代。」
そう言って俺は目の前のサラを
アレンに代わって横抱きに抱え上げる。
「俺が部屋まで送ってく。」
それだけ残してその場を後にした。