第2章 ◆任務の後
「サラも、任務ですかね?
サラがラビの気配を察知できないなんて
有り得ないですし…。」
食堂まで進むにつれ、
一向に姿を現さないサラが気がかりなのか
アレンがそう言って俺に視線を向ける。
そんな俺もサラが現れないことに
徐々に警戒心が解けていき、
アレンの背中から離れて隣に着いて歩いていた。
「んー、任務だったら嬉しいさー。
もし、そこの角を曲がった瞬間に
サラが飛び出してくるなんていうドッキリだったら…」
なんて、冗談を話しながら
角を曲がった瞬間…
「アレンくんっ!
…ラビっ!」
「「うわぁっっ?!」」
よもやビックリ、
サラではなく、
血相を変えたリナリーが飛び出してきた。
「リッ、リナリー?!」
驚きの果てに尻餅をつく俺とは反対に
ぶっ飛んできたリナリーを
アレンはしっかりと抱き留めていた。
「はー、びっくりしたさー…!」
「どうしたんですか、リナリー?」
これまた、煽っている心臓を鎮ませる為
尻餅をついた状態で胸に手を当てている俺とは反対に
アレンは紳士的な対応でリナリーに問い掛けている。
「ご、ごめんね!
驚かせるつもりはなかったの…!
ちょっと兄さんと話してたら、
アレンくんとラビを迎える時間を
過ぎてしまってて、急いで来たんだけど
間に合わなかったわね…。」
少し無理矢理に笑っているリナリーを
抱きとめている状態からその場に立たせ
アレンがニッコリと微笑む。
「そんなことないですよ、リナリー。
…ただいま。」
…俺、場違い、さ…?
まるで、
恋愛ドラマでも見るような感覚に陥っていた俺は
その場で二人を見届けることしか出来ず、
「ほら、ラビも言ってください。」
アレンがそう手を差し伸べてくれるまで、
沈黙を貫いていた。