第8章 カカシとの同居
•イタチside
オレは一度里に戻ってきた
ユヅキに会うために
だが、
ユヅキは見知らぬ男と手を繋いでいた
イタチ
「早速だが、隣のは誰だ。」
聞くまでもなく知っている
オレが里を抜けてからのことだが、ある程度のことはわかってるつもりだ
何故、吸血鬼などという御伽噺の産物がこんな所にいるのか、それが知りたかった
ユヅキ
「……この子は奏多。吸血鬼なの。」
それは知ってる
ユヅキは重々しく口を開けた
ユヅキ
「奏多はこの世界とは違う別世界で暮らしてたの。」
……どういう意味だ?
ユヅキ
「私もまだ半分ぐらいしか理解出来てないけど、奏多は気付いたらこの世界にいて、何百年とか時が流れたんだって……。だったよね、奏多。」
奏多とやらは黙って頷いた
ユヅキ
「で、何だったかな?忘れちゃった。」
ユヅキはヘラヘラとした笑顔を見せる
オレはそんなユヅキにこっちへ来いと手招きをする
ユヅキはオレを見て、奏多との手を離しオレの元へ飛び込んできた
ユヅキ
「兄さんのにおい……落ち着く。」
ユヅキはオレにぎゅっと抱きつき、まるで自分を安心させるかのようだった
ユヅキ
「本当に、兄さんだ…。夢みたいだなぁ…。」
幸せそうなユヅキ
そんなユヅキを見て、こっちまで笑顔になる
イタチ
「ユヅキ、ずっと気になっていたんだが」
ユヅキの首にある呪印をマフラーごしに触れる
イタチ
「ここ、どうなってる?嫌な感じがしない。」
ユヅキ
「……奏多がね取り除いてくれたの。」
ユヅキはするするとマフラーを取って首を見せた
ユヅキ
「だから呪印の効果は何も残ってないよ。そういえば、兄さんに報告するの忘れちゃってたよ。」
イタチ
「このことは他の誰かには?」
ユヅキ
「誰にも言ってないよ?言えるような人って兄さんぐらいだもん。」