第15章 中忍選抜第三次試験
一向に降参しない我愛羅にユヅキはどうすればいいか悩んでいた
ユヅキ
「じゃあもう降参しないならしないでいいよ。でも、私の言うことは聞いてもらうね。」
我愛羅
「…。何をする気だ。」
動けないが気を抜かずに構えている我愛羅
ユヅキ
「お願いって言ったほうが近いかな。」
我愛羅
「お願い…だと?」
ユヅキは眼の力を封じ、我愛羅に近づいて歩きだした
我愛羅
「来るな…、来るな!!」
動けるようになった我愛羅は手で頭を押さえて蹲る
そしてユヅキに向かって砂を操った
ユヅキは避けることなく我愛羅へとまっすぐに足を進めている
ユヅキ
「っ!!」
砂が腕に直撃し、拳で殴られたかのような痛みを感じ顔が歪む
それでも我愛羅に向かって歩いた
蹲る我愛羅をやさしく抱きしめた
我愛羅
「!?な、何の真似だ」
ユヅキ
「君と私は少し似ている。そう感じたんだ。」
(支えてくれる人が周りにいなければ私も彼のようになったかもしれない…。)
我愛羅
「…。」
ユヅキ
「昔の話をしよう。」
ユヅキは自身の生い立ちをかいつまんで話した
その間我愛羅は何も言わずただただ静かにユヅキの話を聞いていた
我愛羅
「オレは…。」
ユヅキ
「言わなくていいよ。卑怯だけどもう見えてしまった。」
我愛羅はユヅキの言っていることを理解した
我愛羅
「その眼で見えるのか…。」
ユヅキ
「そう。意思とは関係なく、ね。」
目を伏せて悲しい顔をして言うユヅキに我愛羅は何も言えなかった
不幸なのは自分だけではないと知ったから