第15章 中忍選抜第三次試験
•ユヅキside
カカシさんは私の涙が枯れるまでずっとそのままでいてくれた
泣き腫らしてしまった目は赤くなり、眼帯は涙で濡れてしまった
カカシ
「眼帯、今だけ外せば?」
ユヅキ
「じゃ、少しだけ」
私は眼帯を解いた
カカシ
「それ(眼帯)とマフラーは貰い物なんだっけ?」
ユヅキ
「はい、兄さんから里に帰還した時に。」
カカシさんが眼帯を手に取る
カカシ
「力を抑え込む術式が使われてるな。」
ユヅキ
「それ、つけてないと疲れるんです。無意識にチャクラを消費するので。任務中でも余程のことがないかぎりは外さないですね。」
カカシ
「へぇー。まぁ、あの時は驚いたけど。」
ユヅキ
「いつですか?」
カカシ
「最初の演習の時。」
そう言われて、第七班結成の翌日に行われた鈴取り演習を思い出した
無意識とはいえ、カカシさんにクナイを向けたんだった
ユヅキ
「あの時は本当にすみませんでした!!」
カカシ
「ん?別にいいよ。ちょっと驚いたけどねー。」
え?クナイ向けたんだよ?
なのに軽いな
ユヅキ
「クナイ向けたんですよ?いいんですか?」
カカシ
「え?あぁ、そっちか。あれにお前の落ち度はないよ。ま、あんな反応するとは思ってもなかったけどね。震えてたし、怖くなって意識まで飛ばしたくせにもう一度向けると止めようとするもんだから面白かったよ。」
この人、私の反応を見て楽しんでいたのか
ユヅキ
「そうですか。」
カカシ
「ま、ユヅキになら殺されても構わないと思ってるんだけどね。」
ユヅキ
「縁起でもないこと言わないでくださいよ!!」
なんてことを言い出すんだ、この人は
カカシ
「そこは照れてほしかったなぁ。」
ユヅキ
「どうして?」
カカシ
「こうも鈍感だと面白いな。」
ははは、と笑うカカシさんに私はこの平穏が続くようにと、叶いはしないと知りながらも願った