第11章 護衛任務
•ユヅキside
ユヅキ
「イナリくん、私の話聞いてもらえる?」
イナリ
「……」
イナリくんの隣に座り、私は話し出した
ユヅキ
「昔の話だよ。昔ね、ある女の子がいたの。その子は一族みんなから愛されていたんだ。色んな意味で。でもね、その子はある時悪い人に攫われた。一族はその子を必死に探したけど見つからない。そして、いつしか一族の間ではその子は死んでしまったことにされていたんだ。」
イナリ
「え?」
ユヅキ
「それから何年か経ってその子のお兄さんがその子を助け出し、一族に連れ帰った。でもその子の居場所は一族のどこにもなかったんだ。一族からは冷たい目で見られるようになってた。だけどその子は幸せだったんだって。昔と変わらずにいてくれる兄と弟のその2人がいればそれだけでよかった。でもね、ある日その子がお父さんとお母さんの話を聞いたんだ。話はね、その子を殺そうという話だったんだ。」
イナリ
「どうして?お父さんとお母さんなんでしょ?」
ユヅキ
「お父さんとお母さんはその子が怖かったんだ。悪い人に何をされたかわからない“物”をそこに置いておくのが。それを聞いてしまったその子は兄に相談した。『まだ死にたくない、死ぬのが怖い』と。でも、それが間違いだったんだ。その子は殺されるべきだったんだ。その子が殺されそうになった時、兄は一族と父と母を殺した。そして、弟の心に傷を負わせ、その子を助けて、罪人として里を出て行ったんだ。」
イナリ
「その後、どうなったの?」
ユヅキ
「…さぁ。どうなるんだろうね。まだ、わからないよ。
でも、その子は未だに後悔してる、兄に相談した事を。」
イナリ
「なんで、こんな話を…?」
ユヅキ
「んー、辛いのはみんな同じだよってわかって欲しくて。例えば私とサスケとナルトくんにはもう親はいないよ。」
イナリ
「…。」
ユヅキ
「イナリくんはもう少し、前を向いて歩くべきだよ。……なんて私が言えたことじゃないけどね。」